今月はたくさん観ましたよ。なんと30本!カナザワ映画祭にフル参加したのが大きいですね。1週間通してほぼ毎日複数本観てましたから。それ以外にも年間ベストに値する作品も観る事ができましたし。
という訳で、今月のピックアップはそのカナザワ映画祭の話と『監督失格』『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』と盛りだくさん。
まずはカナザワ映画祭の話から。知ってる人は知ってると思いますが、簡単に概要を説明します。
毎年9月に金沢で行われている映画祭で、今年が5回目の開催。その偏った作品セレクションから好事家の注目を集めているイベントです。今年は「暴力」をテーマに鬼畜汁したたる作品ラインナップ。会場は21世紀美術館とシネモンドの2スクリーンで、食事休憩等いっさい考慮されていないハードな時間割りでひたすら悪い映画を観まくるわけです。
最近は人気ラジオ番組ウィークエンドシャッフルでも頻繁に紹介されており、私をはじめそれで知った人も多いはず。なので町山智弘×宇多丸×高橋ヨシキのトークショーは早くからソールドアウトする人気っぷりです。大畑創監督『へんげ』と内藤瑛亮監督『先生を流産させる会』のワールドプレミアも大盛況でした。
自分は今回が初参加で、前夜祭から最終日までフル参加。赤城山ヒルクライムと能登半島一周ツーリングで肉体を酷使した後は鬼畜映画で精神を酷使するという、我ながらナイスなプランです。全部で映画18本とトークイベント3本をこなしました。
作品個別の感想はツイートを見ていただくとして、このイベント全体を通しての所感は、主催者の小野寺氏の知識量に驚かされたという事に尽きますね。マニアックな映画をそれほど観る機会のなさそうな金沢という地が、何故こんなにも偏ったシネフィルを育てたのか。非常に興味深いです。そしてそれを求めて全国から集まるボンクラ様たち。素晴らしいじゃないですか。
作品の質にバラツキがある事も指摘されていますが、変にフィルターする事無くフラットに開陳するのは良い事だと思いますよ。ただあまりにもフラット過ぎて、大事な作品をいくつか見逃してしまいましたけどね。『炎/628』とか。
という訳で映画好きにはとても苦し楽しい一週間でした。来年も絶対に参加したいですね。資金稼ぎ頑張らなきゃ。
ちょっと長くなったので、『監督失格』と『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』は一言だけ。どちらもドキュメンタリー形式ながら劇映画以上に目の離せない面白さと深いテーマ性、いつまでも頭から離れる事のない疑問を叩き込まれます。とにかく表現行為に関わる人間なら絶対に観るべき作品です。
以下は先月観た全映画の感想ツイートです。
『ショージとタカオ』サロンシネマにて。30年ぶりのシャバの変わりように面食らう様子が可笑しい。女学生のスカートの短に驚き久々のワサビにむせる様に笑いつつも、それだけの時間を奪う冤罪の恐ろしさに震えた。14年も記録を続けた監督にもリスペクト。 http://t.co/M58OgRM
『スーパー!』サロンシネマにて。これは意外と深いぞ。多分テーマとは違うんだろうけど、暴力はどんな理由であっても暴力なんだという事がちゃんと描かれてる事に感心した。悪役に同情したくなるヒーローものってのも珍しいよな。そしてエレン・ペイジ最高。 http://t.co/M58OgRM

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『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』レンタルDVDにて。これぞ正しきゲームの映画化というか。でも女の子が可愛くないから日本人のオタクの心には届かないんだよな。ベックが音楽監修してるのも良い。弾き語りのシーンなんてモロにベック。 http://t.co/M58OgRM

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『チェイシング・レジェンド』シネマまえばしにて。2009年ツールのコロンビアHTCを追った作品。過去の映像も多く、ツールの歴史教科書としても観れる。チーム員じゃないフォイクトがしゃべりまくってて笑った。別府と新城の映画デビュー作でもある。 http://t.co/M58OgRM

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『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』シネマライズにて。これはドキュメンタリーなのか?全部バンクシーの仕込みなのでは?とか考えるも答えは謎のまま。まるでバンクシーの存在そのもののような作品。シニカルさといいブラックさといい、彼のアート作品の延長線上にある作品ですな。深いわー。
『朱花(はねづ)の月』ユーロスペースにて。万葉の時代から繰り返される、人間が織り成す恋愛表現のまどろっこしさに関する物語。飛鳥の地に眠る者たちや、祖父母のエピソードがかなり直接的に描かれてるのが河瀬作品としては新鮮だったかな。そしていつも通り圧巻の映像美。
『監督失格』TOHOシネマズ六本木ヒルズにて。映画としては不細工な所も多いけど、これは観なければならない作品。人を愛するってナニ?という疑問に対する一つの答えがここにある(と思う)。個人的には例の問題の映像よりも、40男が泣き叫びながら自転車で走る姿のインパクトが大きすぎた。
『ライド・ライズ・ロウアー』UPLINK Xにて。デビッド・バーンの前のアルバムのツアーの様子を収めた作品。かの名作『ストップ・メイキング・センス』に比べると弱いけど、なかなかに面白いことやってる。彼みたいな硬派なミュージシャンが、こんなにもショウの演出に労力をかけるんだなぁと。

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『天国の日々』新宿武蔵野館にて。『ツリー・オブ・ライフ』つながりの上映なのかな。ともかく、映像に尋常じゃなくこだわる監督だって事は良く解った。麦畑とマジックアワーの組み合わせが最強だって事も良く解った。それだけでも観る価値はあると思うけど、それだけのような気がしないでもない。

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『カランバ』香林坊にぎわい広場にて。虫の声が涼しげな秋の公園で血生臭いモンドムービーを鑑賞。これ昔「腕がもげる!」ってTV CMしてたやつだよね。世界残酷物語系といえば想像できる通りの内容で、それ以上でも以下でもない。しかしこんな作品を野外上映する狂った映画祭なんて他にない。
『マンソン 悪魔の家族』金沢21世紀美術館シアター21にて。貴重な上映ということで鑑賞。マンソン・ファミリーと他のカルト集団の違いについて考える。ポップアイコンとしての演出が上手かったのが一番の違いかなぁ。行為の残虐性もそれに一役買ってたのもありそう。 #カナザワ映画祭
『ランボー』金沢21世紀美術館シアター21にて。この傑作をフィルムかつ爆音で鑑賞できる日がこようとは。映画祭初日で早くもハイライトかも。昔観た時は意識しなかったけど、ベトナム戦争の影が色濃い作品だったのね。 #カナザワ映画祭

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『へんげ』金沢21世紀美術館シアター21にて。なんと、怪獣映画であったか!ウルトラQの一話にありそうな懐かし感のある作品だなと思ったら、特撮スタッフはその筋の方々だとかで納得。ラストの超巨大化は泉昌之のウルトラ漫画を思い出してしまった。 #カナザワ映画祭
『先生を流産させる会』金沢21世紀美術館シアター21にて。掘り出し物にして大ネタきた!タイトルだけで嫌~な気分になるけど内容はもっと凄いぞ。特にミズキ役の子の目力!とにかく凄まじくレベルの高い作品なので要注目。今回は画質が残念だったのでフィルムでもう一度観たい。 #カナザワ映画祭
『ジャッジ・ドレッド』金沢21世紀美術館シアター21にて。かなり話題になってたから観てみたけど、自分の苦手ジャンルだった...。いろんな作品をちょっとずつパクった大味SFアクション。同じスタローン主演ながら、昨日の『ランボー』との落差が凄い。 #カナザワ映画祭
『復讐 運命の訪問者』金沢21世紀美術館シアター21にて。黒沢清の1997年作品。内容的には復讐に燃え狂気に染まる刑事といういい加減見飽きたもの。しかし例の神経に障る黒沢演出のおかげで異形のホラーになってる。六平直政の怪演は『冷たい熱帯魚』のでんでんに匹敵。 #カナザワ映画祭

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『アメリカン・バイオレンス』金沢21世紀美術館シアター21にて。テッド・バンディやエド・ケンパーといったUS産のスター級シリアルキラーが総出演。普通の人間に見えるのが怖いよなぁ。あと、マチズモ信奉が根にある銃社会をなんとかしないとこの国はダメだろう。 #カナザワ映画祭
『ジェイコブス・ラダー』金沢21世紀美術館シアター21にて。これずっと観たかったんだ。20年前の作品とは思えない、おぞましくも美しい幻覚シーンが実に素晴らしい。こういう戦争シーンのある映画は爆音上映がピッタリだね。ナイスセレクション。 #カナザワ映画祭
『ソドムの市』金沢21世紀美術館シアター21にて。これはキツかった。ド変態映画と知ってはいたけど、正直ここまでとは思ってなかった。完全にネジが飛んだ大統領の顔がトラウマになりそうだ。観れて良かったけど、二度と観る事はないと思う。 #カナザワ映画祭
『アンデスの聖餐』金沢21世紀美術館シアター21にて。冬のアンデスでの墜落事故で70日も生き延びた16人のドキュメント。当然カンニバリズムが行われる訳だが、本作は犠牲者の父親の視点で語られるのがポイント。雪山だから食い散らされた遺体が形を留めてるのにもビビる。 #カナザワ映画祭
『クールワールド』シネモンドにて。フィレデリック・ワイズマン製作って事で楽しみにしてたけど、全体的に稚拙さが目立ってどうも良くなかった。音楽が『死刑台のエレベーター』っぽくて良い感じだったんだけどなぁ。 #カナザワ映画祭
『アンディ・ウォーホルのBAD』シネモンドにて。これまた最高に不愉快な映画でありました。この苛立たしい程に過剰な無意味っぷりは何だろう。悪は滅びる的なまとめも中途半端で腹立つ。突出した映画である事は認めざるを得ないが。 #カナザワ映画祭
『リモート・コントロール・ウォー』シネモンドにて。イラクやアフガンでは相当数のロボット兵器が使われてて、地球の裏側から遠隔操作する事も普通に行われてるそうで。テロで使われる事への警鐘はその通りだけど、もっと別の意味でのヤバさを感じる。 #カナザワ映画祭
『インフェルノ 蹂躙』シネモンドにて。海外の田舎ホラーを日本流にうまくアレンジしてて面白かった。この脚本はVシネにはもったいないくらい良く出来てると思う。ただ、映画祭の他の作品と比べると表現が大人しくてちょっと物足りないかなぁ。 #カナザワ映画祭
『マンディンゴ』シネモンドにて。これは凄い。一見リベラルな白人の主人公ですら、当時の因習から逃れられずに生じる悲劇。自分は嫁の浮気や奴隷の裏切りよりも主人公の身勝手さに怒りを覚えたけど、彼に共感する人がいそうで怖いわー。リトマス試験紙的作品と言えよう。 #カナザワ映画祭
『夜と霧』シネモンドにて。30分と物足りない尺ながら、今回の作品の中では死体の数的には一番なのでは。しかしアウシュヴィッツものは何度見ても怒りと恐怖に震えるわ。そして「命令に背けず仕方なく」という関係者の言葉に、現代の社畜の姿がダブって見えたよ。 #カナザワ映画祭
『カタストロフ 世界の大惨事』シネモンドにて。ラストの「放射性物質でカタストロフに向う現代」は狙ったのであれば映画祭のフィナーレにぴったりけど、きっと偶然だね。大惨事なんて珍しくもなんともなくて、自分が被害者になってないのは単に運が良かっただけという事ですな。 #カナザワ映画祭
『未来を生きる君たちへ』サロンシネマにて。振り下ろした拳は必ず自分に返ってくるという事を描いたお話。個々のエピソードは見応あるものの、すべてが想定から外れる事無くキレイに収束する点が不満。もっと言うなら、これを映画にする意味はあるのか?
『モンスターズ 地球外生命体』シネツイン新天地にて。『第9地区』と『ザ・ロード』を足したような情緒性と奇妙さを備えた作品。異星人の存在が既成事実になってしまった世界で人類はどう生きていくのかという点で、311以降の世界ともシンクロする。

モンスターズ / 地球外生命体 [DVD]
『GONZO ならず者ジャーナリスト、ハンター・S・トンプソンのすべて』レンタルDVDにて。『ラスベガスをやっつけろ』は何も知らずに観て、テリー・ギリアムもついに頭がイカレたかと思った。全然誇張じゃなかったのね。そして禿なのに超カッケー!