2010年8月に観た映画:『ザ・コーヴ』は困った映画だけど観とくべき
今月は15本。劇場で観たのはその半分以下だけど、なかなか楽しい映画生活でありました。
で、今月の注目作は『ザ・コーヴ』に決まり。作品自体は全く感心できる代物ではないんだけど、お騒がせ映画という以上に意味の有る議論のできる作品という事で要チェック。
あとはジョニー・トーの『スリ』とダンカン・ジョーンズ『月に囚われた男』が抜群に面白かった。こちらもお薦め。
自分が『ザ・コーヴ』ダメだと思った理由は、この映画の監督・出演者をはじめとした制作陣はビジネスとしてイルカ保護活動をしている事が見て取れたから。イルカを食い物にしているという事では、彼らは太地町と同じなんだよね。
映画の中でも「世界中の水族館では多くのイルカ達が日々虐待を受けており、太地はそこへの供給源」と説明しているにも関わらず、その末端である小さな町だけを攻撃している。仮に太地の供給機能を止める事が出来たとしても、需要がある限り太地に代わる別の供給源が現れるだけなんじゃないの。そんなの小学生だって分かる理屈だ。
にも関わらず彼らがこういう行動に出る理由は簡単で、すでにこの分野では日本は世界の敵であるから。世界中の水族館組織を敵に回すよりずっと簡単な訳だ。自分たちは安全な場所から世界の敵を叩けるんだから。そしてそれでメシを食っている。シーシェパードと同じなんだよね。
ドキュメンタリー映画としてオスカーを受賞してはいるけど、偏見の権化と化したリック・オバリーのナレーションを中心にお粗末なサスペンス的映像と論点の定まらない言い分で固めただけの、とてもじゃないけどドキュメンタリーと言える代物ではありません。それでも本作がこれ程の注目を集める理由を知るためにも観る事をお薦めします。
その他の映画については例によってTwitterからの抜粋で。
『クレイジー・ハート』観た。これも「でもやるんだよ」系ね。カントリー版『レスラー』っていうからちょっとビビってたんだけど、あそこまで破壊的じゃなくて良かった。そしてデュードは相変わらずデュードなんである。悪い訳がない。
本日の映画はティム・バートン『アリス・イン・ワンダーランド』。CG映画のあるべき姿ですな。本当にいい仕事してる。ラストは評判悪いみたいだけど、何がダメなのか良く分からん。
本日の映画は細田守『サマーウォーズ』。突っ込み所は多いけどアニメの気持ち良さは絶品。特に女の子が泣くシーンが大好きだ。「一番いけないのは、お腹が空いている事と独りでいる事」も超名言。お話がまるっきり中学男子脳的なのが惜しいけど、この点は次作に期待。
本日の映画はクリストファー・ノーラン『メメント』。ユニークな作品ではあるけど、やっぱ分かりにくい。言葉と映像がシンクロしてないから断片がうまくつながらないんだな。公開時に観た時と同じくつまんねーという感想。
やっぱり面白い『インセプション』。ラストの倒れそうで倒れないトーテムは、観てる者にある危険なアイディアをインセプションするものだね。「ここは現実ではない」という。
本日の映画はジョニー・トー『スリ』。意表をつくオサレ感とお得意のホモソーシャル感が最後まで交じり合わずにおかしな事になっている作品。そして最高に面白い。ラストの雨のシーン(『シェルブールの雨傘』へのオマージュ!)にはマジ泣きした。もう一度言う、最高だ。
本日の映画はハワード・ホークス『モンキー・ビジネス』。肉体はそのままで心だけ若返る薬ってちっとも嬉しくないと思うんだが。特撮やCGのない頃の映画にこんなツッコミはNGっすね。ものすごく英語が聞き取りやすくて、これなら字幕無しでもいけそうな気がした。
本日の映画はガス・ヴァン・サント『グッド・ウィル・ハンティング』。公開時は気付かなかったけど、マット・デイモンをアップで舐めるカメラはGVSのホモっ気視線そのものだね。Elliott Smithの曲もベストマッチ。この時は存命だったんだよなー。
『クロッシング』は脱北を題材にした韓国映画。あまりにも過酷過ぎて映画自体をどうこう言う気も失せてしまう。これがかの国の日常なんだろうなぁ。
『ザ・コーヴ』は聞きしに勝るダメ映画でした。捕鯨やイルカ漁に反対の自分でもこれはないと思った。注目を集めた事は成功だったがもしれないけど、運動家のアホさ加減を晒してしまった事は大失敗。しかもそれにも気付いてない残念っぷり。
本日の映画はダンカン・ジョーンズ『月に囚われた男』。低予算のお手本のような佳作。かなり面白かった。実にリアルな未来像にゾッとするとともに、実は現代の姿かもと考えはじめると眠れなくなりそう。ちなみに監督はデイヴィッド・ボウイの息子さん。将来が楽しみな新人だ。
本日の映画はジョニー・トー『エレクション 黒社会』。完璧なるバディー・ムービー。ヤクザ映画なのにこれでいいのか?!と思ったら、すべてがひっくり返ったラスト10分。続編は明日観るよ。
本日の映画はジョニー・トー『エレクション 死の報酬』。前作に続いてこれも後味悪っ!いつもの痛快バディー・ムービーと黒社会は相容れないもんなぁ。ともかく、この2作は香港の変化のうねりをマフィア側から描いた意欲作って事で。拷問シーンが最強に酷いので要注意。
『サバイバル・オブ・ザ・デッド』観た。これはスルーで良かったかなぁ。ロメロ本人もしくは識者の解説が欲しい。
『ハーツ・アンド・マインズ ベトナム戦争の真実』は見応えあった。情報量多くて消化不良気味だけど。世界で最も歴史から学ばないのはアメリカ人だよなと強く思った。学ばないというか隠され騙されてるというべきか。
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