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『Where in the World Is Osama Bin Laden?』にみるモーガン・スパーロックの確信犯っぷり

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Where in the World Is Osama Bin Laden?(2008年, アメリカ)
監督:Morgan Spurlock
脚本:Jeremy Chilnick, Morgan Spurlock
出演:Morgan Spurlock, 他

日本では劇場公開もないしDVDも発売されていない映画のレビューです。先日『松嶋×町山 未公開映画を観るTV』で放送されたのですが、東京ローカル局なので観た人はそんなに多くはないかな。

監督は前作『スーパーサイズ・ミー』で、30日間マクドナルドのメニューだけを食べ続けるとどうなるかを、自分の体を実験台にして死にかけたモーガン・スパーロックです。そんな彼が、今回は世界不安の元凶であるビンラディンを捕まえに行くというお話。

本作の発端は、以前から彼の作品に顔出ししてたメガネ美人のガールフレンドと結婚し子供が出来たとかで、世にあふれる危険から子供を守らないと!という事だそうで。護身術を学び大量の予防接種を打って単身で中東に乗り込みます。

アホですか…と思わせるのが彼の上手いところですよね。『スーパーサイズ・ミー』もそうだったけど、まるでコメディ映画のような敷き居の低さ。洞窟に向かって「おーい、オサーマー」と呼びかけるシーンに釣られる人も多いんじゃないかな。

序盤は彼もバカを装い面白おかしくふるまうのですが、展開が進むにつれ徐々に問題の核心に迫って行きます。「中東ってテロリストの巣窟って聞いてたけど、なんか違うんじゃね?」から始まり、ついには「イラク戦争ってアメリカ政府によるマッチポンプじゃん!」という所までたどり着きます。

もちろんそんな事知ってる人は知ってるのですが、共和党の支持基盤である保守層はそうじゃないらしいんですね。いまだに大量破壊兵器の存在を信じてるそうだから。なので彼のようなやり方は非常に効果的。はなから「イラク戦争の嘘を暴く!」なんて掲げてたら、ブッシュを神だと信じてる人たちにはそっぽを向かれてしまうので。

そんなモーガン・スパーロックの作風が確立したのはテレビシリーズ『30デイズ』からです。自分もこの作品で彼の大ファンになりました。日本ではWOWOWで放送されDVDにもなっています。本国ではシーズン4まで作られてるようですが、日本ではシーズン2まで観る事が出来ます。

基本的なスタイルは『スーパーサイズ・ミー』と同様に、30日間で普段出来ない体験をしようというもの。敬虔なクリスチャンをイスラムコミュニティに放り込み、マッチョ青年をゲイカップルと同居させ、無神論者に保守的なキリスト教家族と生活を共にさせる等々。最初は水と油のような反応を示すものの、30日後には受け入れないまでもお互いの考え方を認め合うようになってくる。

どのエピソードもアメリカの持つ社会病理を描き出すとともに、先入観や偏見がどれだけ人間を縛っているのかがよく分かる優れた作品です。中でも自分が気に入っているのは、妊娠中絶賛成派と反対派のエピソードと国境警備をする男と不法移民家族のエピソード。前者は最後まで衝突しあう様がこの問題の難しさを、後者は男が自分の偏狭さに気付き変わって行く様を描いた見応えのあるエピソードです。

彼の次作は、”Freakonomics”という経済学の本を下敷きにしたオムニバス作品への参加だとか。池田信夫さんのブログ記事を読むと、こちらもなかなか面白そうですね。日本で公開される可能性は低そうですが。

表題の作品を日本で観る事が出来ないのが非常に残念なのですが、ここで紹介した作品も是非一度観ていただければと思います。では最後にトレーラーをどうぞ。

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  • 書籍”Freakonomics”は、『ヤバい経済学』という邦題で既に出版されています。

  • fukkenさんありがとうございます。
    それと知らず、Amazonのカートに入れてました。近いうちに読んでみます。

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