老いを恐れることなかれ『ヤング@ハート』


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ヤング@ハート / Yung@Heart(2007年, イギリス)
監督:スティーヴン・ウォーカー
出演:アイリーン・ホール, スタン・ゴールドマン, フレッド・ニトル, ドラ・モロー, ボブ・シルマン, 他
公式サイト:http://youngatheart.jp/

映画でボロ泣きしたのは何年ぶりかってくらいに泣いた。これは必見です。

80歳とか90歳とかのじいちゃんばあちゃんのコーラス隊が、The Clash, Sonic Youth, Talking Heads, The Policeを歌うなんて聞いてたので、ただのコミカルな作品かと思ってたらとんでもない。ただただ感動しまくりの大傑作でありました。

いつお迎えが来てもおかしくないくらい死に近付いた彼等が歌うと、同じ歌詞でも別の意味を帯び始めてしまうんですね。男女のラブソングは生と死の歌になり、ディランの”Forever Young”はたとえ年老いても生きる幸せを歌う曲になる。まさか表現のあるべき姿まで教えられる事になろうとは。脱帽です。

米・マサチューセッツ州の小さな町ノーサンプトンにいる、平均年齢80歳のおじいちゃんとおばあちゃんたちで構成されたコーラス隊「ヤング@ハート」が歌うのはクラシックやスタンダードではなく、ロックやR&Bの曲ばかりだが、驚くべきことに彼らはその曲を完全に自分たちのものにしている。コンサート前の6週間、彼らに密着し、リハーサルの様子やプライベートを追う。感動を呼ぶ彼らのパフォーマンスはどこからくるのだろうか。というお話。

撮影中の6週間はみなさん歳が歳なので体の心配が大きいのですが、やはり不幸が起きてしまいます。コンサートを目前に、2名の看板シンガーが亡くなられてしまうのです。それでも彼等は歌うのを止めようとしない。音楽や仲間との共同作業が彼等の大きな支えになってるからなんですね。

そういう意味では、コーラス隊の演出・指導・指揮者を担当するボブ・シルマンの功績は本当に素晴らしい。練習ではお年寄りにキツい事をズバズバ言う鬼コーチなんだけど、メンバーからの信頼が厚いからこその歴史(1982年結成)だし支持も大きい。自分もこんな仕事ができたらどんなに幸せだろうと思う。

そして猛特訓の末に迎えたコンサート当日。かなり立派な音楽ホールなんだけど、チケットはソールドアウトで入手するのも大変な程なんだとか。練習の成果を発揮し素晴らしい演奏が披露される訳ですが、自分がこれまで観たどんなライブフィルムよりも胸を打たれましたよ。

特に、デュエットのパートナーを失った80歳フレッド・ニトルがソロで歌うColdpleyの”Fix You”の感動的な事といったら。彼は酸素吸入器を付けたままステージに立つのですが、その「シュコッ, シュコッ」という音を響かせながらの歌の美しさは、原曲を遙かに超えてしまう程です。

自分も早く80歳になりたいとは思わないけど、少なくとも心配したり恐れたりする事はないんだなと思えるようになってきました。もしその歳まで生きることができたなら、自分も彼等のようにパンクを歌っていたいですね。

この後『ウォー・ダンス』『未来を写した子どもたち』という重要作品を観る予定なので断言はできませんが、今年のベスト作品になりそうな予感がします。

それではトレーラーをどうぞ。


 

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