『横浜トリエンナーレ2008』観覧メモ

いよいよ今月末で会期終了となる3年に1度の現代アートの祭典、横浜トリエンナーレを滑り込みで観覧してきました。
事前調査もほとんどせずに現地に向かったため、時間配分が全然ダメで最後は時間切れで追い出される形になってしまいました。興味深い作品が盛りだくさんで、全作品を観て回ろうとするととても1日では時間が足りません。三溪園会場にも行けませんでした。
ここでは、これだけは観とけ!という作品をピックアップしておきます。
まずは第1会場の新浜ピアから。ここは最も広い会場で、その空間を活かした作品をたくさん見る事ができます。
ここでの個人的ツボはなんといってもケリス・ウィン・エヴァンスとスロッビング・グリッスルの「あ=ら=わ=れ」という作品です。スロッビング・グリッスルは70年代後半に活躍した、異形のインダストリアル・ミュージック集団ですね。
多数の小型スピーカーを仕込んだ円盤を天井から複数吊した作品で、そのスピーカーからはスロッビング・グリッスルによる不穏な電子音が発せられています。面白いのは、その円盤は絶えず揺れたり回転したりしているので、音場が常に変化しているんですね。円盤同士でまたは周囲の壁に音が反射し、音が不規則にうねっています。そんな中を壁に沿ったり円盤の間を縫ったりして歩き回ってみると、かなりわけの分からない状態になってしまいます。
鏡面仕上げされた円盤は非常に美しく、ビジュアル的にも非常に見応えがあります。分かり易い作品でもあるので、個人的には一押しの作品ですね。
お次は第3会場の横浜赤レンガ倉庫1号館。こちらはパフォーマンスのビデオ上映がメインの会場でした。
そんな中で異彩を放っていたのはミランダ・ジュライの『廊下』という作品。これは各所で取り上げられてるのでご存じの方も多いと思いますが、幅1m程の細長い空間を非常にうまく使ったものでした。
左右の壁から交互に生えた板にストーリー性のある言葉が書かれていて、その作品に接する者は否が応でも向き合わなければならないというもの。そこに綴られる言葉はミランダ・ジュライ独特の言い回しで、「この廊下はあなたの人生です。なんてね、そんなわけ無いでしょ。でも色々と考えるきっかけにはなるんじゃない?」的な物語を展開しています。
この語り口の雰囲気は彼女の映画監督作品『君とボクの虹色の世界』を観た方には分かり易いでしょう。途中に出てくるイラストも、映画から飛び出してきたかと思うようなものでした。ビデオアート主体な人なのかと思っていたのですが、こんな作品も手掛けるんですね。
最後に向かったのは、第2会場の日本郵船海岸通倉庫です。ここは他の会場とうってかわり、倉庫感が非常に高くヘビーな作品に似合いそうな空間でした。
ここで気に入ったのは小杉武久の「レゾナンス」という作品。これは文句なくカッコイイ。
光と音を連動させた作品で、FM放送の音に原型を留めない程にエフェクトをかけ、それを光に変換しオブジェを発光させています。音は完全にノイズと化してるのですが、このノイズがなんとも心地良いんですね。会場の寒々しさと相まって、インダストリアル感が上手い具合に増幅されていました。
そして自分が最も期待していたのがマシュー・バーニーの作品です。どんな作品なのか全然知らなかったのですが、「ヴェールの守護者」というタイトルのパフォーマンスを収めたビデオ作品でした。スペースもディスプレイも小さめでちょっと残念だったのですが、内容の衝撃度は非常に高い作品です。
彼の作品に触れる機会が多い人なら免疫が付いてるんでしょうけど、そうでない人にはちょっと厳しいかも知れませんね。お得意の肉体をテーマにした作品で、いつも通り遠慮など一切ありません。劇場でのライブパフォーマンスだったようですが、ライブで観た人は度肝を抜かれたでしょうね。
46分の作品で、自分が観た時は閉館時間の関係で途中で切られてしまいました。もう一度ちゃんと観たいなぁ。
今回観た中ではこの第3会場が最も作品の密度が高く、これから観に行かれる方はここに時間を割く事をお薦めします。チケットは2日日有効(連続してなくても可)ですので、2回に分けて観覧するのも良いでしょうね。
自分は、今回行けなかった三溪園と第3会場をもう一度観に、この週末再度訪れようかと思っています。日曜は田中泯のパフォーマンスも予定されているようだし。
ヨコハマ経済新聞に非常に良くまとまったガイドが掲載されていますので、ご参考まで。
横浜トリエンナーレ2008のみどころについて – ヨコハマ経済新聞
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