過剰な作り込みもここまで度を過ぎると痛快なり「ダージリン急行」

ダージリン急行 / The Darjeeling Limited (2007年, アメリカ)
監督・脚本・製作:ウェス・アンダーソン
脚本・製作:ロマン・コッポラ
出演:オーウェン・ウィルソン, エイドリアン・ブロディ, ジェイソン・シュワルツマン, 他
公式サイト:http://www.darjeeling-movie.jp/
その偏執的な箱庭的世界と対象との絶妙な距離感で、得も言われぬカタルシスを与えてくれる天才ウェス・アンダーソンの新作でございます。もう一人のアンダーソン、ポール・トーマス・アンダーソンの「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」は派手な露出っぷりを見せていますが、こちらは地味ながらファンは見逃し厳禁の傑作であります。
父の死をきっかけに断絶状態にあった3兄弟が、長男の呼びかけの元にインドを走る列車・ダージリン急行に集合する。彼らの目的は、行方不明の母親探しと兄弟の絆を取り戻すためのスピリチュアル・トリップである。様々な問題を抱えた3人は、立ち寄る先々で様々なトラブルに遭いながらも、インドのおおらかな空気のなかで徐々に穏やかな心を取り戻していく。というお話。
またしても家族がテーマですね。それなりにシリアスなお話なんだけど、彼の手にかかるとこんなにも軽妙で柔らかな手触りになってしまいます。なんだけど、残尿感のような小さな不安がいつまでも心に引っかかったままになるという不思議な感覚。
色彩設計, カット割り, カメラワークが非常に独特であるうえに、まるで夢に登場する自分を一歩引いて客観と主観が入り混じった視点で見ているような突き放し方が、そういった感覚につながるのかな。うまく説明できませんが。
小さな無数の非日常の綿密な積み上げで構築されたウェス・アンダーソン的世界はこれまで以上に冴え渡ってて、余分な脂肪が一切無い鍛え抜かれたカラダを思わせます。そんな世界で繰り広げられる物語はまるで現実離れしたおとぎ的のよう。
ビル・マーレー, ナタリー・ポートマンの贅沢な使い方も良いアクセントで小憎らしい限りです。それと映画オタクの彼のことだから、きっと古典映画へのオマージュも至る所に盛り込まれてるんだろうけど、それが分からないのがちょっと悔しいかな。
決して万人向け映画ではないけど、ただでさえイビツな映画界のバランスをとるためには絶対に必要な作品であります。そして、今回もサントラが抜群!
最後にトレーラーをどうぞ。
【AD】
テクノロジーが大好物のロードバイク乗りが、気になるモノやコトを紹介するブログです。自転車関連の話題はもちろん、ガジェットやネットサービスをはじめ音楽や映画等々、ノンジャンルのようで実に筋の通った話題をピックアップします。