もうひとつのロスト・イン・トランスレーション「MON-ZEN」


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1999年, ドイツ
監督:ドーリス・デリエ
出演:ウーヴェ・オクセンクネヒト, グスタフ=ペーター・ヴェーラー, 他

この作品に興味をもったのは、ブログやAmazonでの評判がすこぶる良かったので。そして、大好きな「ロスト・イン・トランスレーション」と比較したレビューが多く、こちらの方が好きという評価が少なくなかったこと。となると観ない訳にはいきません。

〜Aufzeichnungen aus dem Reich〜 帝国見聞録: 映画評 『MON-ZEN(Erleuchtung Garantiert)』 ドーリス・デリエ:「フシギの国ニッポン」映画 その2

Amazon.co.jp:MON-ZEN[もんぜん]のレビュー

残念ながらすでに廃盤になってて手を出しにくい値段が付いてますが、自分は運良く中古ショップで格安で購入できました。ぽすれんにはラインナップされているようなので、会員の方には是非試してもらいたい作品です。

ある日、日本かぶれの風水師グスタフ(弟)の元に妻子に逃げられたウーヴェ(兄)が転がり込んできて、弟が予定していた禅寺での修行旅行に同行することになる。来日し東京に一泊するも、バーでぼったくられたあげく迷子になってしまい、一文無しになり段ボールにくるまって一夜を明かす。なんとか旅費を工面し能登の門前町の禅寺にたどり着いて修行がはじまるが、兄弟は辛い修行を克服し悟りを開く事ができるのか…、というお話。

女性監督らしい繊細さで、心地よい笑いに満ちた素敵作品でありました。ドーリス・デリエ監督の作品を観るのも初めてで、他の作品も要チェックですね。あと、フィルムじゃなくてビデオでの撮影のようです。主人公も作品内でビデオを多用しているのですが、まるで本人が撮ったものをそのまま観ているような錯覚をもたらしてくれます。

「ロスト・イン・トランスレーション」との比較についてですが、両作品を比較して思ったのは、映画作家のライフスタイルや日本体験がそのまま作品にも現れているんだろうなという事。どこか日本離れした新宿パークハイアットを舞台にリッチな男女が出会う「ロスト…」と、文無しになりアルバイトで旅費を稼ぎ、鈍行列車を乗り継いで禅寺にたどり着く冴えない兄弟の「MON-ZEN」。前者を自然に感じるセレブな方もいるんでしょうけど、庶民感覚的には後者の方が身近な日本なんですよね。

また、オシャレ映画としても名高い「ロスト…」には、セクシー女優こんなカットをはじめ、代官山の高級寿司店や原宿のエッジなストリップクラブなど、我々が知らない日本がてんこ盛りなのに対して、「MON-ZEN」では立ち食いそば屋や段ボールハウスの群、あげくの果てには毛むくじゃらな中年兄弟の入浴シーンまで見せられてしまします。前者はラブロマンス作品で、後者はコメディ作品という違いはあるにしても、監督が違うとこんなにも描き方が違ってしまうものなんだなと。

そして決定的な違いは、「ロスト…」が日本人を脇役としてしか描いていないのに対し、「MON-ZEN」は禅寺での僧侶とのコミュニケーションを通して兄弟の成長を描いている事。この記事のタイトルを”もうひとつの…”としてしまいましたが(その方がキャッチーだったのでw)、実は180度テーマが異なる作品なんですね。

それと偶然なんでしょうけど、日本を舞台にしたという事以外にもう一つ共通点を見つけました。「MON-ZEN」の終盤でグスタフが電車の中であるカミングアウトをするシーンと、「ロスト…」のラストでボブが西新宿の雑踏でシャーロットの耳元で何かをささやく別れのシーン。一方は笑っちゃうような、もう一方はウットリするような、こちらも180度違うシーンなのですが、どちらも日本で得たナニカによる変化を感じさせるやり取りで、作品に味わい深さを与えているという点では共通していると思いました。

本作品を見てしみじみ思ったのは、日本ってカラスと携帯電話の国なんだという事。そして、都会と田舎のカラスは鳴き声も違うとか。深いっす。

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ロスト・イン・トランスレーション
ロスト・イン・トランスレーション

MON-ZEN[もんぜん]
MON-ZEN[もんぜん]

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