サイクルロードレース観戦はじめの一歩「ツール・ド・フランス完全ガイド」
「ツール・ド・フランス完全ガイド」
著者:土肥志穂
出版社:楓書店
発売されてすぐに読んだのですが、紹介するのが遅れてしまいました。
前作「人はなぜツール・ド・フランスに魅せられるのか」に続く土肥志穂さんの2作目です。
自分がロードレースを観始めた頃にこんな本があればなぁ…と思わせる、初心者には非常にありがたい観戦ガイドです。最初に躓きがちなポイントが丁寧に解説されていますので、本書を読めば速やかにロードレースの深みにはまっていくことができそうです。
目次はこんなかんじ。
1章 ツール・ド・フランス基礎知識
2章 ツールのあれこれQ&A
3章 レース・戦略の読み方
4章 注目選手ガイド
5章 2007年コースガイド
6章 ツール・ド・フランスを見に行こう
1,2章は基礎の基礎で、ツール・ド・フランスの概要と豆知識的内容になっています。ツールの歴史やオーガナイザ, 競技ルール, コース, 機材といった概要と、トイレ問題や補給食等の素朴な疑問集です。このあたりはある程度の観戦歴の方はとばしてもいいでしょう。
3章はロードレースの醍醐味であり、それ故に分かり難い部分でもある戦略の解説です。ここは初心者だけでなく、ある程度分かっている方にも読み応えがありそうです。
「逃げ」と「集団」を中心にしたレース展開といった基本から、風や道路状況を使った戦略、不文律に基づいたレースの組み立て方等々、一通り説明されていると思います。あと、テレビ画面に表示されるテロップの読み方説明は初めて見た気がします。
読み応えがあったのは、「名勝負に見るレースの読み方」の部分です。2005年の山岳ステージでのジョージ・ヒンカピーのステージ優勝と2003年のマイヨ・ベール争いのエピソードを解説しています。
特に前者は物議を醸したレースだったので、リアルタイムで観てた人にも興味深く読めるのではなでしょうか。本来なら最後まで牽き続けたペレイロに勝ちを譲るべきだったとは思うのですが、この解説を読むと、そうせずに勝ってしまったヒンカピーを非難するのは必ずしも正しくないのかなと思えるようになりました。なんせ、アシスト人生に許された唯一のチャンスなんだから、1回くらいいいじゃんというか。ペレイロも翌ステージで勝ってる訳だし。結果論ですが。
すべての動きに理由があると良く言われますが、ここまで読めるようになればレースをもっと楽しめるんでしょうね。自分も精進しないと…。
4,5章は今年の選手とコースの紹介です。活躍が期待される選手のプロフィールを脚質毎に解説してあります。コースプロフィールはほんの軽く。
こういう単行本で今年限りの情報を載せるのはどうなんでしょうね。記録としてはいいのかもしれないけど。ページ数も多くないし、いいのかな。もしかして、2008年版の計画もあったりして!?
6章は現地での観戦ガイド。ここは読んでて楽しい内容ですね。長距離移動のノウハウや選手へのアプローチ方法、コース上での観戦方法、観戦ツアー紹介等々。一生現地観戦なんてできないかもしれないけど、いつかきっと..という気持ちも湧き上がってきます。行った事もない場所の地図を見ながらヴァーチャルトリップしてるのと同じかもしれません。
10月のジャパンカップ観戦でも役立ちそうなノウハウも結構ありますね。ゴールラインよりオーロラビジョンが見える場所で観戦すべし、はそのまま使えます。去年から有料エリアができたり色々と変更があって、ゴールライン近辺の場所取りが厳しくなってきました。なので自分も終盤はビジョン前で観戦する事にしたのですが、最終周回の攻防もしっかり見れるし表彰式も同じ場所で見れて、確かにその通りでした。
前作と同様、綺麗な写真が大量に入ってる分活字が少なめなので、ペロッと読めてしまいます。なので、若干物足りなさはありますね。ロードレースの奥深さに対して、かなり広い話題を取り上げてるので全体的に薄まっているというか。
土肥さんならもっとディープな話を書けると思うので、次はそういった作品を期待したいですね。



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